発達障害は生まれつきの脳の機能障害です。
親(養育者)の育て方や、生まれてからの環境によって発症するわけではありません。
ただし遺伝的要素は大きく、70~80%とする研究があります
子どもの頃に発見される事が多く、周囲との関係や学習、コミュニケーションなど、日常生活に困難が現れます。
一方で優れた能力が発揮されている場合もあり、「得意・不得意の差が大きい」事が特徴といえます。
また、このアンバランスな部分が周囲の人に理解されにくく、本人は「生きづらさ」を感じてしまう事も特徴的です。
2005年に「発達障害者支援法」が制定されました(2016年改正)。
様々な障害者関連の制度の中に発達障害が位置付けられ、必要な支援サービスが提供される仕組みが整備されています。
ADHDには3つの大きな特徴があります
・すぐに気がそれる、集中できない、興味がないものに注意を持続できない
逆に興味があれば過剰に集中している(例:朝から晩までゲームをしている)
・興味が次々に移り変わる。気が散りやすい
・仕事や勉強では細かい部分に注意が向けられず、ケアレスミスをしやすい
・作業を順序立ててやれない、2つ以上の事を同時にこなせない(例:料理など家事が苦手)
・忘れ物や無くし物、遅刻が多い。期限がある宿題や仕事が苦手
・知的水準に見合わないほどの落ち着きのなさ
・しゃべるのを止められない
・動いてはいけない場面で動き回ってしまう
・走り回る、よじのぼる、ジャンプするなど、活動性が異常に高い
・手足をそわそわ動かしたり、椅子の上でもじもじしたりする
・教室や職場など、座っていることを要求される状況で座っていられず、席を離れる
※ポイントはいずれの行動をしている時でも、本人は頭では理解できているという事(例:静かに座っていなければならないとわかっていても、できない)
・結果を考えずに動いてしまう。危険な行為でもその場の思い付きだけでやってしまう
・我慢がきかない
・欲求をすぐに満たそうとする
・質問が終わる前に、先に答えてしまう
・順番を待てない。列に並べない
・会話やゲームなどの場面で他人を遮ったり割り込んだりして、干渉する
・衝動買いや衝動食いが多い
自閉症スペクトラム障害は、かつては「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」のような診断名でいろいろな障害に分類されていました。
しかしこれらは共通する特徴が多く、現在では症状が薄いか濃いかの違いだけで、同じものと考えられています。
このように症状の現れ方に「幅がある状態」「連続してつながっている状態」のことを「スペクトラム」と呼びます。
自閉症っぽさが軽い・薄いのであれば、日常生活にほぼ困らずに生きていけるでしょう。しかし同じ自閉症っぽさが重い・濃い場合は日常生活で多くの支援が必要になります。
さらに人によって薄い部分・濃い部分が異なるので、ASDの方はそれぞれ違う強みや困りごとを抱えています。そのため1人1人の特性に合わせた理解や支援が大切になります。
・相手の気持ちや表情、感情を読み取るのが苦手
・会話のキャッチボールが難しい。会話の際に自分が話を聞く番なのか、話をする番なのかわからない事がある
・独特な話し方、言葉遣いが見られやすい(セリフを棒読みするように抑揚がなく、早口)
・場の空気を読む事や、暗黙のルールに気づけない
・言葉通りに受け取りすぎて、言葉の裏に隠された意図に気づかない
・マニュアル通りに行うのは得意だが、臨機応変な対応を求められたり、予定外の出来事が生じるとパニックを起こしやすい
・同じ行動やルールに強くこだわる(例:スケジュール通りにきっちり動き、それが乱されるとパニックになる)
・特定の分野に強い興味を持ち、豊富な知識量を有する一方、それ以外には無関心(鉄道、地図、国旗、ゲーム、アニメ、アイドルなど)
・数字にこわだりを持つ場合がある(時刻表、車のナンバーなど)
・ものを並べたり、繰り返したりする行動を好む
・いつも同じ場所に同じものがないとパニックを起こす
・小さな音でも大きく感じる事がある。特定の音に耐えられない(ASDで最も多いのは聴覚過敏と言われます)
・光が苦手(例:蛍光灯や太陽の光が嫌悪感を伴ってまぶしく感じる)
・肌に触れる感覚が苦手。人に触れられたり、シャワーのような刺激が苦手
・特定の味や触感、匂いが苦手で、偏食や食べず嫌いになりやすい
・逆に感覚が鈍い場合もある。痛みや熱さを感じにくい、気温変化を感じない、呼ばれても気づかない、見た目の違いに気づかない、味の変化を感じにくいなど
知能に問題がないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」など、特定の学習分野にだけ著しい苦手さが見られる状態です。
例:国語の読み書きがかなり苦手だが、算数は得意
例:音読や文字の読み書きには時間がかかるが、会話するぶんには問題ない
子どもの場合、発達支援センターや児童精神科などで診断を受ける事が可能ですが、成人の方が一般精神科で出会う事はほとんどありません。
※成人の学習障害を正確に判定できる医療機関自体が少ない
発達障害は生まれもっての脳の特性なので、大人になって突然発症するものではありません。
子どもの頃に気づかれなかった、もしくは気づかれても適切な治療・支援が行われなかった場合、大人になって社会に出たあとで困りごとが表面化する事があります。
また生活する場が、それまでは障害特性があっても守られていた状況「学校」から、自分の力で生活する必要がある状況「社会生活」に変わる事も、困りごとが増える一因になります。
・仕事の締め切りを忘れる
・書類を紛失する
・会議中に集中力が続かない
・仕事の優先順位をつけられない
・一度に複数の作業ができない(マルチタスクが苦手)
・遅刻が多い。作業にかかる時間を見誤る
・営業職のような対人職だと、コミュニケーション能力の弱さゆえにトラブルが生じやすい
・空気が読めなかったり、こだわり行動などの影響で周囲から浮く
・1人作業ならいいが、チーム作業が苦手
・急な予定変更や、イレギュラーな出来事に遭遇すると対応できない
・職場の多様な刺激(対人刺激、音、光など)が苦手で疲れやすい
・医師の診察と同時に、知能検査で能力の凸凹を詳細に測定したり、ADHDや自閉症スペクトラム傾向を調べる心理検査を行う事で、多面的な診断を行います。
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